監督と助監督が語る『パフィンの小さな島』に込めた“家”への想いー。オフィシャルインタビューが到着!

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5月30日(金)

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『ウルフウォーカー』などで知られ、設立25周年を迎えたアイルランドの名門アニメーション・スタジオ、カートゥーン・サルーンの最新作『パフィンの小さな島』。個性豊かな生き物たちとともに、気候変動がもたらす影響について優しく描いた本作を作り上げた、ジェレミー・パーセル監督とロレイン・ローダン助監督が来日。作品に込めたテーマやキャラクター設定、ビジュアル表現に至るまで、その製作の舞台裏について聞いたオフィシャルインタビューが到着した。

本作は、絶滅危惧種に指定されている海鳥パフィン(ニシツノメドリ)の女の子ウーナと弟のババ、そして気候変動による嵐で故郷を失ったエトピリカのイザベルが、アイルランドの美しい島でさまざまな動物たちと出会い、やさしさに触れながら自分の居場所を見つける物語。


TVアニメ『ウーナとババの島』は2~3歳を対象とした短編シリーズ。そこから、家族で楽しめる劇場映画へとどう変化させていったのか。パーセル監督は、「映画館で観るなら、ドラマ性が必要になります。そこで“家を失う”という喪失のテーマを中心に据え、主人公をウーナではなくイザベルに切り替える決断をしました。彼女は“新しい環境に馴染めない”存在として描かれていて、観客が彼女の視点を通して物語を体験できるようにしています。映画として成立させるために、より豊かなストーリーテリングと感情の厚みが必要だったんです。」と話します。そんなイザベルは、実在する海鳥「エトピリカ」で、彼女の視点から描かれる物語は、過去の幸せな記憶と向き合いながら、新しい“家”を見つけていく成長の旅でもある。


「イザベルは弟フェニックスと強い絆で結ばれていますが、それは過去への執着でもあります。環境の変化に戸惑い、心を閉ざす彼女が、自分の過ちを認めて成長していく姿がこの作品の核となっています」とローダンが語ると、パーセル監督は「私たちは製作中、“What is Home?”という問いをホワイトボードに掲げていました。彼女にとっての“家”とは何なのか。それを見つけていく物語なんです」と舞台裏を明かしました。そして、物語の中盤で、イザベルが“ある嘘”をつくシーンについて話が及ぶと、観客の子どもたちが見せた反応が、制作陣にとっても大きな驚きだったという。「『知らない』と嘘をついたイザベルに対して、スクリーンに向かって“知ってるよ!”と叫ぶ子どもたちがいました。あの瞬間、彼女の感情に共鳴してくれたことが何より嬉しかったです」(パーセル)


カートゥーン・サルーンが生み出す豊かな映像について話が及ぶと、イザベルの回想シーンで、水墨画を思わせる幻想的なビジュアルが採用されていることについて「最初は“美しい”と感じた水墨画のスタイルですが、アニメーションとして動かすのは本当に難かしく、何度も試作を重ね、2ヶ月ぐらい試行錯誤してようやく映像として成立させることができました」と、実現には苦労も多かったとローダン助監督は振り返った。


そんな本作の映像表現には、スタジオの哲学が色濃く反映されており、特に、“丸”や“円”といったモチーフには、“調和”や“再生”といった意味が込められているという。「キャラクターが円を描くように泳いだり、タンポポの綿毛が舞ったり。そうした描写はすべて、世界が優しくつながっていることを象徴しています」(パーセル)と語り、象徴的なシーンとしてマーヴィンが海の中でシルキーたちと一緒に円を描いて泳ぐシーンや、後半でタンポポが花開く場面を例に挙げた。


すべての子どもたちへ――世界を越えて届けたいメッセージ
最後に、二人はカートゥーン・サルーンの作品づくりにおける信念について、
「私たちはいつも、“自分たちが観たい映画”を作ろうとしています。クリエイティブな好奇心を持って、世界中の子どもたちに届くように、誠実に作品と向き合っているんです」(パーセル)、「文化や国によって反応は違いますが、今回の日本の観客がどんなふうにイザベルの旅を受け取ってくれるか、とても楽しみです」(ローダン)と語り、インタビューを締め括った。


5月30日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町他全国ロードショー

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