聖職者を偽る元犯罪者の行いは果たして“悪”なのか―!?『聖なる犯罪者』各界の識者たちからコメント到着!

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12月8日(火)

第92回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作『聖なる犯罪者』。

少年院に服役中のダニエルは、前科者は聖職に就けぬと知りながらも、神父になることを夢見ている。仮釈放となり田舎の製材所で職を得たダニエルはふと立寄った教会で、新任の司祭と勘違いされ司祭の代わりを命じられる。司祭らしからぬダニエルに村人たちは戸惑うが、徐々に人々の信頼を得ていく。数年前、この村で起こった凄惨な事故を知ったダニエルは、心に深い傷を負った村人たちを癒そうと模索する。そんな中、少年院にいた男が現れすべてを暴くとダニエ
ルを脅し、事態は思わぬ方向へと転がりだす…。

本作は、ポーランドで起こった実際の事件が基になっている。当時19歳の青年が、ある小さな村で実際に神父を装い、結婚式をはじめ、洗礼や葬儀も行っていたというのだ。村の人々にも気づかれず、むしろ親しまれていた彼は、完全に神父の仕事に魅了されていたという―。

脚本家のマテウシュ・パツェヴィチは、このような事件のことを「偽神父の事件は毎年起こるくらいポーランドでは珍しくない」と語る。この事件に着目したマテウシュは、実在の人物の振舞いはそのままに、村で起こる事件などを脚色してシナリオを完成させた。またマテウシュはこの後、ヤン・コマサ監督と再度『ヘイター』(Netflix にて配信中)でもタッグを組み、トライベッカ映画祭のインターナショナル・ナラティブ部門で最優秀作品賞を受賞する快挙を成し遂げた。
そして、本作のラストでは、善悪を境目を超えた驚愕の展開が待ち受けている。果たして彼の行為は悪なのか、善なのか。そんな本作に、各界の識者たちから鮮烈な驚きに満ちたコメントが到着した!

◆武田砂鉄(ライター)
信じることと疑うことは、とても近くにあるのかもしれない。
だとしたら、それはとても怖いことだ。

◆向井康介(脚本家)
人は自らの犯した罪から逃れるために“秘密”という道具を使う。
加害と被害のどちらにも寄らない作り手の“神の視線”は静かなサスペンスを生んだ。作劇の勝利だ。

◆松尾 貴史 (俳優)
善人か悪人か。その評価は現象でしか判断できない。
その絶妙な感性の綱渡りを体感できる実話に基づく物語。

◆ダースレイダー(ラッパー)
ダニエルの眼差し。様々な場面で強烈な印象を残すこの眼差しに宿るもの。時に濁り、時に透き通るその眼にこそ”聖なる”一瞬が訪れるのでは?それを捉えようとして作られた作品なのではないか?だからこそ、 僕らはこの作品から目を逸せない。

◆鈴木啓之(シロアムキリスト教会牧師)
光と闇の中で彷徨う私達人間の心の葛藤がリアルに表現されていて、この映画を見た全ての人に真実に生きることの大切さ を知らせてくれるだろう。

◆藤井誠二(ノンフィクションライター)
もしも「神」というものが存在するのであれば、誰もが意図することなく、何人も気づかず、ふいに去っていくものではないか。無邪気な表情をした一陣の風が吹いた、とでもいえばいいのか。 不思議な虚しさが残存する。 そんな感覚をぼくに植えつけたのがこの映画だ。

◆児玉美月(映画執筆家)
善人であろうとする者が犠牲になってしまう不寛容。
これは遠い国で起きている問題ではなく、私たちがいま生きるこの国の問題でもある。
それをバルトシュ・ビィエレニアの鋭い眼光は、スクリーンを突き破って訴えかけてくる。

◆常川拓也(映画ライター)
ヤン・コマサは憎悪が染み付いた現代の病理を炙り出す。本作と次作『ヘイター』は、宗教と政治が同じ名の詐欺師によって対称的に操作される警告の寓話である。 鋭い眼光の“悪党”が善悪が二極化した社会を撹乱させる。

◆SYO(映画ライター)
彼はどこで、間違えたのか?
前科者は神父になれない。揺るがない現実を前に、少年は再び、道を踏み外す。
その先にあるのは、ご都合主義的な福音じゃない。物語は彼を決して許さない。
神は見ているのだ。お前の「本質」を。

2021年1月15日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

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作品紹介

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