マダガスカルの音楽と死生観に魅せられた日本人監督が、全編マダガスカルで撮影したロードムービー『ヴァタ~箱あるいは体~』より、特報と場面写真、キャストのコメントがマダガスカルから届いた。
高校時代からマダガスカルの音楽に魅せられてきた亀井岳。旅と音楽をテーマに、ドキュメンタリーとドラマを融合させるスタイルで映画を監督してきた亀井は、2014年、2作目の『ギターマダガスカル』を完成させるも、撮影時にマダガスカルの南部で偶然出会った、遺骨を入れた箱を長距離に渡り徒歩で運ぶ人々のことが忘れられず、監督3作目もマダガスカルで製作することを決意。音楽によって祖先と交わってきたマダガスカルの死生観を元に、家族を失った人々がその悲しみをどう乗り越えていくかという普遍的なテーマの映画を全編マダガスカルロケで、マダガスカル人のキャストのみで製作した。
村の長老に遺骨を運ぶよう命じられるタンテリとザカとスルの三人組は、『ギターマダガスカル』の出演者・トミノの一族の3人が演じた他、3人と旅をする離れ小屋の親父役は、監督が20歳位の時にすごく好きで聞いていたバンド「タリカ・サミー」のサミー、途中から合流するレマニンジ役は、マダガスカルの各地方を代表するミュージシャンを集めて結成されたNy Maragasy ORKESTRAのメンバーに選出され、一躍その存在を知らしめたアンタンルイ族のレマニンジが演じた。
■『ヴァタ~箱あるいは体~』特報
本作は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022で観客賞(長編部門)を受賞した後、第23回ニッポン・コネクションで上映され、8月3日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開されることが決定している。
【タンテリ役:フィ コメント】
撮影当時は中学生でした。脚本を読み、とてもマダガスカルっぽくて良いと思い、積極的に出演しました。遺骨を入れた箱は、実際自分ではまだ運んだことはないけれど、小さい頃から時々運ばれているのを見ます。ロケ地はどこも自分にとっては初めて行く新しい場所ばかりでしたが、とても美しい場所ばかりでした。本作で、マダガスカルの良いところをぜひ見て、マダガスカルの生活、景色などを感じてほしいです。
【レマニンジ役:レマニンジ コメント】
映画への出演をオファーされて、とても嬉しくて、やらない理由はなかったです。脚本を読んで、とてもよい話だと思いました。私自身、親戚が亡くなった時、チュレアールからベロアというところまで遺骨を入れた箱を運んだことがありますが、車で運べるところは車で運びました。今はやるとしてもサレティ(牛車)または車で運ぶことが多いと思います。私にとって、音楽とは、祖先から代々引き継ぐ伝統であり、祖父から父へ、そして自分へと家族皆で引継いできたものです。本作は、マダガスカルの人と自然をよく描いた作品なので、多くの日本人に知ってほしいです。
8月3日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開