ホテル・ハイビスカス
ホテル・ハイビスカスを営んでいるのは、腕白でお転婆な小学校3年生の少女・美恵子をはじめ、バーで働きながら一家を支えている美人の母ちゃん、三線(さんしん)とビリヤードが得意な父ちゃん、黒人とのハーフのケンジにぃにぃ、白人とのハーフのサチコねぇねぇ、そしてくわえタバコのおばぁ。ホテル・ハイビスカスは一泊四千円だが、今なら沖縄料理付きで三千円。でもお客さんが泊まれる部屋はひとつしかない。変わったホテルである。ある日、美恵子、ガッパイ、ミンタマーの3人はガジュマルの木に宿る精霊、キジムナーを探しに出発する。米軍基地の中に潜入した3人は、「まやー食いおばぁ」と出会う。まやー喰いおばぁは、死んだネコの皮を剥いで食べると噂される老婆だ。ホテル・ハイビスカスでは31周年と3カ月と3日目の創立記念日ということで、大抽選会が催される。父ちゃんには泡盛1年分、おばぁにはお線香1年分と、みんなに素敵なプレゼント。美恵子が当てたのは、全自動洗濯機。そして母ちゃんには、なんとアメリカペア旅行のチケット。そして美恵子は母ちゃんに代わって洗濯したり、朝ごはんを手伝ったり。ある日アメリカから、でっかい目覚まし時計と母ちゃんからの手紙が届く。美恵子はその手紙を父ちゃんに届けようと、ひとりバスに乗り込んだ…。お盆がやってきた。母ちゃんとサチコはまだ帰ってこない。美恵子はからかったクラスメートに石をぶつけてしまう。おかげで父ちゃんからは大目玉。思わず家を飛び出してしまう。夜になり、誰もいない公園で、美恵子は自分にそっくりな多恵子という名の少女と出会う。