体温
食品工場で働く倫太郎は、言葉を発しない、身動きもしないイブキと、外の世界を遮断した生活をおくっていた。ある日、イブキとそっくりなキャバクラ嬢の倫子と出会う。本名の(倫子)と、源氏名(アスカ)の間で、自分を見失いそうになっている倫子。倫太郎と倫子、出会うはずのなかった二人の出会いは、互いの孤独を埋め、二人の距離は縮まっていくが、倫太郎の思い通りに倫子は自分だけを見てくれない。倫太郎はイブキにドレスを着せ、髪型を変え、化粧をして「倫子」と呼びかける。しかし、イブキの正体は、実際の人間から型取りされた人形だった。