祝福(いのり)の海
大学時代、貧困問題に関心があった‘僕’。地球の上でみんなが平和に暮らすにはどうすればいいのか――。世界を旅する中で、自分の暮らしが世界の問題と繋がっていると感じた僕は、足元の暮らしから見直そうと、塩づくりをしながら自給的な暮らしを営む一家を訪ねることにした。そこには、海や大地に根ざし、あらゆるものを自分たちの手でつくり出す、生き生きとした暮らしがあった。
同時期に出会った、山口県の瀬戸内海に浮かぶ小さな島「祝島」。豊穣の海の恵みに支えられ、互いに助け合い笑い合う地域の共同体が残る。その島の対岸には、30年近く前から原発建設計画が進められていた。「海をお金では売れない。」と島の人たちはいう。島に通うようになった僕は、彼らが守ろうとしている、どこかなつかしい暮らしに触れていく――。
2011年3月11日 大きな試練に見舞われた日本。
祝島から福島へ。平和を求める旅の中で、様々な出会いを経て見えてきた、いのちを生かし合う、未来につづく暮らしや世界――。